中医学

今すぐ使える『薬膳』選びの五性五味とは?

まずは知っておきたい薬膳の基本、よくある質問について『3分でわかる薬膳の基本』でご紹介しました。

基本はわかったけれど、じゃあどうやって食材を選べば良いの?薬膳を作らなくても外食するときやお惣菜選びにも使えるの?

そんな実践編です。今回は、すぐにでも使える薬膳の『四性五味』についても3分でわかるようにお伝えします。

食材にはすべて性質がある?

薬膳では、食材そのものの作用を知ることが大切です。作用というのが、今回のメインテーマの『五性五味』のこと。

そんな食材がもつ「五性・五味」の作用をかけ合わせながら、体質や体調に合わせレシピを考え、からだのバランスを整えます。

『え、料理もしないのにそんなのすぐに難しいよ!』と思うかもしれませんが、実はこうした食材選びは普段からごく普通に感じていることなんです。

夏の暑い時期にはからだの熱をとるあっさりした食材が美味しく感じたり、寒い時期には身体を温める料理が心地よかったり。知らず知らずのうちに取り入れているんです。

私たちは、その時々で身体が求める食べ物を自然と選んで生きています。逆に違う食事を続けるとバランスが崩れてしまうので注意が必要です。

誰が、どうやって決めたの?

いまから2,000年以上も前に書かれた中国の薬学書である『神農本草経』には、365種類もの生薬や食材が記載されていて、すでに薬膳の前進となる五性五味についても述べられています。

そんな中国「周」の時代には医師にもランク分けがあり、日々の食事で健康管理を行う「食医(しょくい)」という人がはじめたと言われています。

食医は、薬で病を治す「疾医(しつい)」などと同様に、最も位の高い医師と書かれていたくらい食養生は大切に考えられてきました。

つまり、2,000年以上前のお偉い医師の方々の考えをベースにできているのです。

『五性五味』に足し算、掛け算して合わせる

食材には、

五性(寒性・涼性・平性・温性・熱性)
五味(酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(かんみ:塩味))
といった性質があります。

その性質を知って、季節や体質、体調に合った食事を自分で選ぶことが薬膳の知恵です。

では、それぞれの特徴をみてみましょう!

食材がもつ性質『五性』とは?

五性…寒性・涼性・温性・熱性・平性

簡単にいうと、あたたかい〜冷たい〜といった、温度に関係する部分を5つに分けています。

寒涼性

寒涼性には、寒性、涼性の2つがあります。どちらも体の中の余計な熱を取り除く、体にうるおいを与えるなどの働きがあります。

【寒涼性の食材】

寒性…あさり、かに、柿、スイカ、ごぼう など
涼性…豆腐、セロリ、なす、きゅうり、はと麦 など

温熱性

温熱性には、温性と熱性の2つがあります。どちらも体を温める、冷えを取り除く、気血の流れを良くするなどの働きがあります。

【温熱性の食材】

温性…しょうが、玉ねぎ、えび、かぼちゃ、鮭 など
熱性…羊肉、シナモン、唐辛子、山椒、酒 など

平性

寒涼性・温熱性のどちらにも当てはまらない食材が平性に該当します。作用が穏やかなので、どんな体質にも合わせやすいのが特徴です。

【平性の食材】

鶏肉、じゃがいも、キャベツ、さんま、さば、枝豆 など

 

食材がもつ味『五味』とは?

五味…酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(かんみ)

簡単にいうと、食材の味を5つに分けて考えています。

酸味

イライラや不安などを改善、自律神経のバランスを整える、ひきしめなど働きがあります。スーッとした味わいが特徴ですね。

【酸味の食材】

レモン、みかん、グレープフルーツ、酢、トマト など

苦味

余分な熱を取る、高ぶった神経を鎮める、利尿といった作用があります。その名の通り、苦味のあるのが特徴です。

【苦味の食材】

苦瓜、アロエ、緑茶、ピーマン、セロリ など

甘味

消化器の働きを改善、痛みを和らげる、滋養強壮といった働きがあります。砂糖やシロップを使った甘さで味付けしたものだけでなく、食材がもつ甘みが特徴です。

【甘みの食材】

鶏肉、牛肉、アーモンド、お米、芋、にんじん など

辛味

温める、発汗、解熱、気血の巡りを良くするといった働きがあります。辛いものを食べると汗をかくのもこの作用の働きですよ。

【辛味の食材】

ねぎ、玉ねぎ、しそ、にら、エシャロット、らっきょう など

鹹味(かんみ)

ホルモンに作用する、しこりや塊を柔らかくしたり小さくすることが期待できる、便秘改善などの働きがあります。しょっぱい味のことですが、塩のしょっぱさとは違います。

【鹹味の食材】

あさり、いか、くらげ、牡蠣、はまぐり など

まとめ

薬膳が考える『五性五味』について駆け足でご紹介しました。まずは、なんとなく理解して頂けたらOKです。

からだが冷えている時には温める食材を食べよう!
夏の熱気の暑い時には、熱を冷ます食材を食べよう!

これも薬膳の知恵です。ぜひ、日々の生活の取り入れてみてくださいね。

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